左右に門松。壁の社旗を背負うように立ち、社長が年頭の辞を語る──。東京・浜松町の東芝本社ビル39階ホールで開かれてきた東芝の年賀式。これが2015年は姿を消した。

「東芝は今年、創業140周年を迎えます。この1年を東芝グループ20万人が躍動する、節目にふさわしい年にしていきましょう」。仕事始めの1月5日。社長の田中久雄は自身の写真を添えて、イントラネット上で国内外の全社員にメッセージを送った。

「気づいたんですよ。年賀式ってグローバルじゃないよね、と。他社の経営者も『それはいい。うちも来年はやめよう』と言っていましたよ」。田中は少しばかり自慢げに語る。そしてこうも付け加えた。「まあ、一部反対の人もいましたけどね」。

反対したのは、お歴々の先輩諸氏だったのではないか。年賀式は社員に加え、経営の一線を退いた相談役らも一堂に会する数少ない機会だったという。新年をことほぎつつ、東芝ファミリーにおける自身の居場所を再確認する場。それを田中は、過去と決別するように廃止した。

続いて1月29日。東芝は海外のテレビ事業の自社開発・販売から撤退すると発表した。3月に北米から撤退の計画で、今後は台湾メーカーに東芝ブランドを供与する「ライセンスビジネス」に変わる。欧州やアジアでも同様の事業モデル転換を進める計画だ。

これに先立つ昨年9月には個人向けパソコン事業を縮小し、法人向けを強化する方針を打ち出した。関連して、国内外の拠点・人員の削減も断行する。ノートパソコンシリーズ「ダイナブック」で知られる東芝のパソコン事業は、現役役員にも事業出身者が多く、“抵抗勢力”もあったはずだ。それでもテレビとパソコン、白モノ家電を柱とするライフスタイル事業が510億円の営業赤字(14年3月期)を垂れ流すところへ、田中は改革のメスを入れた。

市場が横向く空虚な最高益

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