創業から20年が経ったアマゾン。2015年の売上高は1070億ドルと大台を突破し、eコマースの世界に金字塔を打ち立てた。

「20年前の私は、自ら車を運転して郵便局へ荷物を運んでいた。いつかフォークリフトを持つことが夢だった」

1月28日にジェフ・ベゾス創業者兼CEOは、決算と同時に発表したプレスリリースにこうしたコメントを寄せた。ベゾス氏が感慨にふけるのも無理はない。今やアマゾンは年間3億人の利用者を抱え、推定20億の品目、年間合計で40億個の荷物を扱う超巨大企業へと変貌した。

昨年7月には、時価総額で米小売り最大手のウォルマートを抜き去った。ウォルマートは売上高4856億ドル(15年度、約54兆円)に上る“小売りの王”。アマゾンに逆転を許したのは、流通の趨勢を象徴するかのような出来事である。

ネット通販では世界中のライバルたちを圧倒し、向かうところ敵なしだ(図3)。米国以外の欧州でも高いシェアを誇り(図4)、アマゾンの経済圏は世界で広がり続けている(図7)。

順調に成長を続けるアマゾンだが、利益は驚くほど低水準にとどまる(図5)。それはベゾス氏の経営哲学と深く関係している。

1997年にアマゾンが米ナスダックへ上場した際、株主向けの手紙でベゾス氏は「すべては長期的な価値のため」として、短期的な利益を追わないと宣言した。

その考えは今なお続く。将来に向けて巨額の投資を行い、目先の利益は追わない。心臓部である物流とITシステムに相当額をつぎ込むことで、インフラの構築を進めてきた。

ビジネスの領域も広がっている。07年の電子書籍リーダー「キンドル」発売を機に、自社で端末を開発するメーカー事業へ参入(図6)。11年には動画の見放題サービス、14年には音楽の聴き放題サービスを開始するなど、コンテンツビジネスにも手を広げている。

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