政治の高齢者優遇は有権者の行動や意識に由来するものではない(撮影:尾形文繁)

今夏の参議院選挙を前に政府は、1000万人を超える低所得の年金受給者に臨時給付金3万円を支給する。このような政策を目の当たりにすれば、「日本の政治は高齢者の声ばかりを重視し、若者の声を無視している」という主張の信憑性はますます高くなるものである。

近年よく聞く「シルバー民主主義」という言葉は、こうした政治への認識を背景としている。高齢化により老若の人口格差が拡大し、高齢者を優遇する政策が導入される状況を指す用語である。集票を目指す政党や政治家は、人口の多数を占める高齢者の要求に応じる誘因を持つため、高齢者偏重政治が生み出されるのだと論じられる。そしてこれを覆すために若者はもっと投票に行くべきだと叫ばれている。

だがシルバー民主主義批判論は問題の構造を単純化、もしくは誤解しており、結果として適切な方策を提示できていないように思われる。ここでは高齢者偏重政治の背景を探り、既存の議論が見落としている論点を提示していきたい。

議論の際に流行語が多用されると、問題の実態が適切に把握できなくなることがある。2015年5月の大阪都構想住民投票に際しシルバー民主主義が指摘されたことは、その典型である。

大阪都構想の敗因は老若対立ではない

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