メガバンクといえども、日銀のマイナス金利政策で国内収益は確実に低下する(撮影:尾形文繁)

三菱UFJ
頼みの海外戦略を3つの逆風が襲う

「米4大銀行に迫る位置につけている。シンジケートローンなど伸ばせる分野はたくさんある」。3月8日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱)の海外戦略コンファレンス。三菱で非日系大企業向け業務を統括するランドール・チェイフェッツ執行役員はそう力を込めた。

三菱は3メガバンク(三菱、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ)で最も海外展開が進んでいる。日本銀行のマイナス金利政策で国内収益の低下が避けられない中、海外の拡大はメガにとって最大にして唯一といってもいい成長戦略。ランドール氏の力の入れ方は当然ともいえる。

しかし、実はその頼みの海外戦略に暗雲が垂れ込めている。三つの逆風が三菱を襲っているのだ。

1600億円を超える追加コストが必要に?

一つ目が米国の信用コストの上昇だ。「ここまで膨らむとは想定外」と三菱の経理担当者はこぼす。

米国法人のMUFGアメリカが公表した2015年10~12月期決算。前年同期100万㌦の戻入益だった信用コストは、1億9200万㌦の費用へ負担が急増した。これだけで約220億円の減益要因だ。15年7~9月期対比でも信用コストは約200億円増えている(図1)。

[図1]拡大する

信用コストとは、融資先の貸し倒れや、それに備えて引き当てる費用のこと。融資先の業況が悪化すると信用コストは膨らむ。ここまで増えたのは、米国における原油の探査・生産業者の業況が悪化したからだ。こうした業者へは原油の埋蔵量を担保に融資することが多いが、最近の原油価格急落で担保価値が低下した。その結果、非正常先と分類される融資先が増え、貸倒引当金が必要になったのだ。

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