「先生、宿題やってきたよ!」

学校を終えた子どもたちが次々と集まってくる。住宅街にある公文式教室。棚にある次の課題を取り出し、黙々と取り組む──。半世紀以上前の創業当初から変わらない風景である。

公文式は教室に週2回通いながら、算数(数学)、国語、英語のプリント教材をこなす学習法だ。

1958年に大阪で創業した公文教育研究会は、今や世界49の国・地域で約2万4800の教室を展開しており、生徒数は420万人を超える(1教科1人換算)。直近の売上高は900億円超(図1)。国内教育業界では、最大手のベネッセホールディングスに次ぐ大手グループの一角である。

[図1]
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近年メディアをにぎわせてきたのは、海外での躍進だった。70年代に早くも米国に上陸。その後、台湾、ブラジル、ドイツなどへ教室網を広げ、今や生徒数は海外が国内を凌駕する。未上場であるため詳細は非公表だが、「収益でも海外が国内を上回る」(同社)。教育業界における海外進出の先駆者といえる。

しかし最近目を引くのは、むしろ国内での勢いだ。少子化で全国の児童数が減少傾向にある中、公文の国内生徒数は過去10年間、安定して140万人台を維持している。直近の2016年3月には151万人へ増えた(図2)。公文の池上秀徳社長も「ここ5年間ほどは、海外だけでなく国内も調子がいい」と自信を示す。

[図2]
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国内好調の一因は英語にある。公文は10年、英語教材としてそれまでのCDに代わり、リスニング機器「イー・ペンシル」を投入した。小学生の英語学習熱が高まる中、手軽に英会話の発音を身に付けられることが受け、生徒数増加につなげてきた。

ただ、それだけではない。「創業者・公文公(とおる)が築き上げた独自教材と学習法が今なお親世代を引き付けている」(池上社長)というのだ。

自学自習を促進する蓄積された工夫

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