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宇宙エレベーターに乗って

転載元
朝日小学生新聞
2017年(平成29年)1月1日(日)

こども編集長

座間耀永(ざまあきの)さん
座間耀永(ざまあきの)さん
東京都・小学4年生
将来の夢:パティシエ。
宇宙エレベーターに自作のスイーツを届けたい。
子ども編集長 苗字名前
星佳佑(ほしけいすけ)くん
東京都・小学5年生
将来の夢:サッカー選手。
宇宙エレベーターで無重力サッカーに挑戦したい。
ロケットを使わず宇宙へのぼっていく――。それが宇宙エレベーターです。夢物語ではありません。建設会社の大林組は2050年の実現をめざしています。(朝日小学生新聞 沢辺雅俊、今井尚)

9万6千キロのケーブル

石川洋二さん
1955年生まれ。アメリカ航空宇宙局(NASA)などで研究。大林組で宇宙エレベーターの研究開発をとりまとめる  撮影:今井康一

「現在は宇宙へ行くにはロケットしかありませんが、たくさん燃料が必要でお金が高い。宇宙エレベーターなら、将来かんたんに行けるようになるかもしれません」。大林組の石川洋二さんは、こう説明します。

乗り物(クライマー)のイメージは電車やモノレール。地球から宇宙へのびるひも(ケーブル)がレールの役割をして、そこをのぼり降りします。ひもの長さは約9万6千キロメートル(地球の直径の8倍)。地球は回転(自転)しているので、ひもの先端ほど回転スピードが速くなります。そこで探査機をのぼらせて、ひもの途中や先端から放り投げれば、火星、木星へ飛んでいけるのです。

こんな計画に座間耀永さん(4年)と星佳佑くん(5年)は興味津々。「2050年までにつくろうとしているのはなぜ」とたずねると、「どうつくるか、まじめに考えました。30年に最初のケーブルを宇宙から投げこめたら、ケーブルの補強作業に20年くらいかかるからです」。建設費用は「ざっくり10兆円」です。

つくる手順は次の通り。まず材料をロケットで打ち上げ、上空で建設用の宇宙船を組み立てます。宇宙船はひもをくり出しながら上昇し、ひもは地表に到着。その後、ひもを太くする補強をくり返した後、資材をクライマーで上へ運び、各施設をつくります。

「宇宙から帰ると筋力が低下しますが、エレベーターは?」(星くん)、「ケーブルはどうやって取り付けるの?」(座間さん) 撮影:今井康一

完成させるのは小学生世代

銀河鉄道のように途中にいくつも駅が造られる(写真は上空3.6万kmの静止軌道ステーション) 提供:大林組

実際に宇宙旅行に行くとしたら、どんなイメージでしょうか。費用は海外に行くよりやや高く「ちょっとした車」程度。「ふつうの人でも行けます。ロケットより衝撃がなく訓練もいりません」。シートベルトをずっとしめているわけではなく、ホテルの部屋のように快適に過ごせて、「宇宙食」以外も食べられそうです。

夢は広がりますが、実現に向けての課題は山積み。ケーブル、クライマー、電力の送信法など、技術開発が必要なものは一つや二つではありません。ともに取り組む仲間も必要です。

「実際につくっていくことになったら、中心になるのは君たちの世代。難しいからこそやりがいがある。ぜひ大きなことにチャレンジしてほしい」と石川さんは期待します。


Q 地震が起きたらこわれますか?

今までだれもしたことがない質問だね(笑い)。下の方がゆれるくらい。風がふいても影響は受けますが、ケーブル自体は安定しています。


Q 乗り物酔いはする?

するかもしれません。上空約400キロで、無重力状態の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士も「宇宙酔い」をしますので。


【右上】地上の発着場は海上に浮かんだ形で造られる。 【左上】静止軌道ステーション内部。もちろん無重力。
【真ん中左】国際宇宙ステーションより広い空間で宇宙遊泳も可能。 【下】発着場までは海中トンネルでアクセスする。
提供:大林組

山川清弘編集長の目輸送コスト安く、
ビジネスの可能性に期待

ここでは経済記者の立場から、宇宙エレベーターの可能性と課題を紹介します。

ゼネコンとは、いわゆる建設会社のこと。ゼネコンの大林組は、世界一の高さの電波塔、東京スカイツリーをつくった会社です。ツリーが完成した2012年に宇宙エレベーター構想を発表しました。

50年に運行を始めるとすると、30年には工事を始めなければなりません。なんと工事は20年もかかります。それまでに材料と建設技術を開発し、建設資金10兆円が集まるかどうか。ハードルは決して低くありません。それでもロケットより輸送にかかる費用が安くなるところに、夢だけではなくビジネスセンスが感じられます。

お客さんの切符代だけでは赤字になるので、宇宙に太陽光発電設備を建設する資材を運ぶなど、物資の輸送でも利益を得るそうです。

宇宙では通信や放送などの分野で人工衛星を使った民間のサービスが広がっています。日本政府は、宇宙関連機器の国内市場規模を25年までに現在の2倍の6千億円程度へ広げる未来をえがきます。

週刊東洋経済プラス編集長 山川清弘

※朝日小学生新聞記事転載ここまで※

株式会社大林組
〒108-8502
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
TEL:03-5769-1111
HP:http://www.obayashi.co.jp/

50周年記念企画 「未来を見に行こう」

子ども向け全国紙、朝日小学生新聞の創刊50周年記念企画。「最新の事象がコンパクトにわかりやすくまとまっている」と、経営者やビジネスマンの間でも密かに支持されている『朝小』と「週刊東洋経済プラス」が「未来を見に行こう:現場編」としてコラボレーション。未来の技術をテーマに、子ども記者と『プラス』編集長山川の異色タッグが企業に共同取材します。『朝小』紙面で月1回程度連載、『プラス』でも転載記事が公開されます。

朝日小学生新聞

業界地図

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『会社四季報 業界地図』2017年版

宇宙開発

衛星サービス軸に本格的宇宙利用時代へ

宇宙利用の拡大とともに関連作業の成長が続いている。惑星探査や地球観測以外に通信・放送、衛星測位など人工衛星の商業利用も広がる。米国のスペースXはじめ打ち上げ費用の価格破壊が急速に進んでいる。三菱重工業も2020年度の試験飛行を目指し、打ち上げ費用を原稿の半額程度に抑えた新型「H3」を開発中だ。今後は技術を磨きつつ、いかに低価格に対応できるかがカギとなる。

「週刊東洋経済」の歴史から

日本の高度成長で建設株が人気化

「週刊東洋経済」昭和34年2月14日号掲載

大林組は創業1936年の老舗で、上場は58年12月。『週刊東洋経済』には59年2月14日号「上場四〇〇社の三月決算予想」の1社として登場した。東京オリンピック(64年)に向けて発展する日本経済を追い風に業績は順調。当時は『会社四季報』(36年創刊)のような誌面で、「長い伝統が生んだ営業基盤は固く業績安泰の主な理由だ」とあるが、「品薄による人気化の傾向もみられ、堅実投資には不向き」とも書かれている。

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