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リニア中央新幹線をつくるJR東海

転載元
朝日小学生新聞
2017年(平成29年)4月17日(月)

指令リニアに乗って、
超高速を体験せよ!

今回はリニア中央新幹線をつくるJR東海を取材しました。
こども編集長
森林恭誠
森林恭誠(もりばやしきょうせい)さん
東京都・小学6年生
大塚芭南
大塚芭南(おおつかはな)さん
神奈川県・小学5年生

ビュワーンと走る
時速500キロ

【上】「ういた!」浮上走行、やがて時速500キロを体験した2人【下】車内の画面で前方の様子や時速などが見られます

体が背もたれにぐっとおし付けられたかと思うと、超電導リニアモーターカーが勢いよく出発しました。ここは山梨県にある総延長42・8キロの実験線。2人はその中間にある実験センターでリニアに乗りこみました。シートベルトもなければ、運転手さんもいません。2人はちょっと緊張気味です。

今回はまず実験線の東の端まで移動し、そこから西の端まで時速500キロで1往復した後、センターにもどります。途中、「浮上走行に移ります」と放送が流れました。それまでゴトゴトとゆれていた車内が急に静かになりました。「あ! ういた!」。何かやわらかいものの上を走っているような感覚です。「なんか飛行機みたい」と森林さん。速度計の数字はどんどん上がり、時速500キロに達しました。2人は思わず笑顔になりました。

リニアは2027年に開業すれば、東京(品川)―名古屋間(286キロ)をわずか40分で結びます。今回はその約7分の1の区間を約30分にわたり乗車しました。

下車後、JR東海山梨実験センターの高橋建之さんに取材しました。

超電導は静かで強い

リニアモーターカーはすでに国内外で実用化されていますが、つくるのは世界で初めての超電導リニアです。

超電導リニアのくふうを教えてくれた、JR東海の高橋建之さん(中央)

超電導磁石は普通の磁石よりも強力で、速度を上げられます。これまでに実験では最高時速603キロを出したこともありました。

普通のリニアが1センチ程度しかうかないのに対し、超電導リニアは10センチうかせることができます。これにより地震などに強くなりますが、強い磁力が発生します。森林さんは、この磁力の乗客への影響について聞きました。高橋さんは「磁力は鉄板で防ぎ、国際基準を下回る値にしています。ペースメーカーを着けているお客さんにも影響がないようにしています」。

【左】推進の仕組み【右】浮上の仕組み
画像提供:JR東海

非常時の急停止について大塚さんが聞くと、「普段のブレーキはリニアを進める磁石の力を逆に使います。さらに空気抵抗を使ったブレーキや、車輪走行になればディスクブレーキも使います。時速500キロ走行から約90秒あれば止まれます」。

先頭車両の「鼻」は、高速走行をするため15メートルの長さがあります

東京―名古屋間の路線の86%がトンネルです。新幹線のお医者さんと呼ばれる検査車両「ドクターイエロー」のリニア版ができるかどうかは未定です。

リニアには「のぞみ」みたいな名前はつきますか?と大塚さん。「もしかしたら将来、募集があるかもしれないので考えておいてくださいね」

開業は10年後。工事はすでに6都県で始まっています。

(構成・今井尚)

Q どうして無人運転なのにヘッドライトがあるのですか?

前を見るためではなく、列車が来ることを周りに知らせるためです。前は白色、後ろは赤いライトと決まっています。

取材をしてみて

思ったよりゆれました。磁気を遮断したりするために、見えないところでいろいろくふうがあるとわかった

耳がキーンとなったけど、静かでいいなと思った。移動が楽になると画期的だと思う。いろいろな人が見えないところでがんばっているのがわかった

山川記者の目地方は元気になるのかな?

品川―名古屋間で工事が始まったリニア。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、移動コストが減るなどして、この区間だけで50年間で10・7兆円分の効果があるといいます。

東海道新幹線は1964年の開業から半世紀以上がたち、設備が古くなりました。収益の7割を新幹線にたよるJR東海にとって、もう一本の新幹線には大きな意味があります。

一方、消費電力はいまの新幹線の3倍。工事で周囲の川の水が減り、トンネルを掘った土砂による環境破壊も心配です。

国が期待するのは経済効果に加え、移動時間を短くし、生産効率を上げ、消費を活性化することです。

リニアで国内の移動が活発になり、地方都市が元気になるのか? 便利な東京にますます人が集まり、地方の活気が失われるのか? どちらになるかは、みなさんが大人になったとき、世界から見た日本、東京から見た地方がどれだけ魅力的であるかにかかっている気がします。

『週刊東洋経済』副編集長 山川清弘

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
〒450-6101
愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 JRセントラルタワーズ
TEL:050-3772-3910
HP:http://jr-central.co.jp/

50周年記念企画 「未来を見に行こう」

子ども向け全国紙、朝日小学生新聞の創刊50周年記念企画。「最新の事象がコンパクトにわかりやすくまとまっている」と、経営者やビジネスマンの間でも密かに支持されている『朝小』と「週刊東洋経済プラス」が「未来を見に行こう:現場編」としてコラボレーション。未来の技術をテーマに、子ども記者と『週刊東洋経済』副編集長 山川清弘の異色タッグが企業に共同取材します。『朝小』紙面で月1回程度連載、『プラス』でも転載記事が公開されます。

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JR

快走する本州3社にJR九州が追随

旧国鉄が1987年に旅客6社と貨物に分割民営化。首都圏地盤のJR東日本と、東海道新幹線を抱えるJR東海の収益力が断トツ。北陸新幹線が開業したJR西日本と、九州新幹線を擁するJR九州の4社が上場企業。JR貨物はトラック運転手不足で攻勢に転じた。JR北海道は北海道新幹線が一部開業したが、本格的な収益貢献は札幌延伸開業後。JR四国もローカル線中心に苦戦が続く。

「週刊東洋経済」の歴史から

国鉄が分割民営化されてできたJR東海

昭和62年(1987年4月4日号)

JR東海(東海旅客鉄道)の初登場は、日本経済がバブル真っただ中にあった1987年4月4日号。日本国有鉄道が地域別の6旅客鉄道会社や貨物鉄道会社などに分割され、民営化された当時の記事だ。本社のある愛知県名古屋市を本拠とする都銀、東海銀行(当時)から会長を受け入れ、国鉄内で分割・民営化を推進した“改革派三人組”の葛西敬之氏(現名誉会長)が取締役に就任したことが触れられている。89年1月14日号では、リニア新実験線のプロジェクトリーダー(当時常務)として中央リニアエクスプレス構想についてすでに語っている。山梨実験センター(先行区間)での走行実験が始まったのは97年。それから20年弱、2014年にリニア中央新幹線が着工した。

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