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住宅地図で知られる地図会社、ゼンリン 周囲の様子を正確に測れる車両を使い、将来の自動運転に役立つ地図を開発しています

転載元
朝日小学生新聞
2017年(平成29年)9月25日(月)

指令地図の未来は
どうなっていくの?

今回は住宅地図で知られる地図会社、ゼンリンを取材しました。
こども編集長
深見耕平さん
深見耕平(ふかみこうへい)さん
福岡県・小学4年生
奈木野和奏さん
奈木野和奏(なぎのわかな)さん
福岡県・小学5年生

自動運転やドローン
AI用のため研究も

「日本で一番くわしい地図」と言われる住宅地図。ページをめくると会社やお店はもちろん、住宅やマンションに住む人の名前も細かくのっています。

【上】住宅地図で母校を見つけた深見さんと奈木野さん【下】住宅地図を更新する作業を見学

深見さんと奈木野さんの家や学校もちゃんとのっていました。この地図はおもに警察や消防、郵便配達の仕事などで役立てられています。

住宅地図はゼンリンの主力商品です。日々変化していく街の様子を、毎日約1千人の調査員が全1741市区町村を歩いて調査しています。表札を見て住人が変わっていないかたしかめ、新しいお店ができたり、建物がなくなっていたりすれば地図に書きこみます。調査員は1日に10~20キロほど歩き、膨大な情報を集めます。

こうして集めた情報をもとに、地図を新しくする作業を見せてもらいました。奈木野さんの家の近くにしばらく前、新しいコンビニができました。その情報は調査員によって報告されていました。コンピューターを使い、建物の形や番地、お店の名前を正しく入力します。住宅地図は都市部は毎年、長くても5年に1度は新しくしています。最近では紙の地図だけでなく、コンピューター上で見るグーグルマップなどにも集めたデータは使われています。

見るだけでワクワクを

「街の様子をただ図形にしただけでは地図とは言えません。使う人にとって使いやすい形に加工するのが地図会社の仕事です」そう話すのは未来の地図を研究開発している原口幸治(はらぐちこうじ)さんです。

自動車を運転する人に使いやすいのがカーナビです。定期的に日本中の道路標識の写真を撮り、正確でわかりやすいイラストをえがき、正しい方向を示すようプログラミングします。

地図は今は人間が使っていますが、将来は機械やロボットが読む地図が必要になると言われています。

人が車を運転するとき地図を見るように、自動運転の車はコンピューターが地図を理解し、車を正しく安全に走らせるようになるでしょう。そのためゼンリンは道路を正確に計測する機器を取り付けた特別な車で、全国の道路を細かく調べています。

周囲の様子を正確に計測できる車に乗る奈木野さん。車の後ろで手をふる深見さんがコンピューターに映ります=福岡県北九州市、ゼンリン本社

また将来活躍が期待されるドローンが街中を飛ぶとき、どこにどんなビルや橋があるかなどを示す地図ができないか、研究が始まっているそうです。

人が読む地図とちがい、コンピューターにはどんな地図が役立つのか、どう活用してくれるのか、原口さんたちのチームはAI(人工知能)の研究が盛んなアメリカでも研究しています。

コンピューターの地図も人間が読む地図も「地図は行ったことのない場所を教えてくれるもの。地図を開き、行ったことのない場所を想像してみてください。地図を見るだけでそこに行った気分になってもらえればうれしいです。」

Q どうして北九州に本社があるのですか?

1948年、大分県の別府温泉で地図付きの案内本を作ったことから会社が始まりました。今も九州から全国に向け、ものづくりをしたいという思いがあります。


取材をしてみて

道路を正確に測量する自動車など普段見られないものを見られてよかったです。住宅地図のくわしさにも驚きました。

普段から学校の地図帳などを見ているけれど、これからもっと地図を見てみたいと思いました。

山川記者の目想像と現実世界とのナビに

ゼンリンという社名の由来は「善隣友好」という四字熟語。近隣の人や国と仲良くするという意味です。平和でなければ地図など作れない、という創業者(大迫正冨さん)の思いがこめられています。

全国の住宅地図を作っていたゼンリンは、1985年に紙の地図をデジタル化します。巨額のお金がかかる冒険でしたが、カーナビやインターネット上の地図も提供する最先端の会社になりました。

ネットではグーグルマップなど海外企業のサービスが広く利用されていますが、その日本国内の地図にはゼンリンのデータが使われています。現在は、ドローンを飛ばすための3次元の地図や、自動運転車が安全に走行するための特殊な地図を開発しています。AI(人工知能)が普及する将来には、人間が読むのとはまったくちがう地図が作られるでしょう。

未来の地図がどんなものになっても、人間やAIの想像や判断と、現実世界との橋渡しをする役目には変わりがないと思います。

『週刊東洋経済』副編集長 山川清弘

株式会社ゼンリン
〒804-0003
福岡県北九州市戸畑区中原新町3番1号
TEL:093-882-9050(代表)
HP:http://www.zenrin.co.jp/

50周年記念企画 「未来を見に行こう」

子ども向け全国紙、朝日小学生新聞の創刊50周年記念企画。「最新の事象がコンパクトにわかりやすくまとまっている」と、経営者やビジネスマンの間でも密かに支持されている『朝小』と「週刊東洋経済プラス」が「未来を見に行こう:現場編」としてコラボレーション。未来の技術をテーマに、子ども記者と『週刊東洋経済』副編集長 山川清弘の異色タッグが企業に共同取材します。『朝小』紙面で月1回程度連載、『プラス』でも転載記事が公開されます。

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電子媒体は好調だが紙媒体の縮小が続く

電子媒体の2016年の推定販売金額は前年比27%増と急成長。全体の約8割を占めるコミックが牽引。紙媒体(書籍・雑誌合計)の市場規模は12年連続で縮小、ピークの1996年から4割以上縮んだ。流通の中核で卸機能を持つ取次の破綻が相次ぎ、川上の出版社、川下の書店を含めた再編が加速している。NTTドコモ「dマガジン」に代表される電子書店の定額読み放題サービスに注目。

「週刊東洋経済」の歴史から

デジタル化で収益を拡大するゼンリン

平成10年(1998年4月4日号)

ゼンリンは1997年6月14日号の「会社四季報最新情報」で紹介され、本格的な初登場がこの98年4月4日号だ。特集「デフレ不況を克服する強い会社・伸びる会社」の中で「ここが違う!いまどきの急成長企業」として良品計画やユニ・チャームとともに紹介されている。当時は福岡証券取引所に上場しており、同取引所が始まって以来の高値1万1900円で株式公開したと報じられている。アナログ系の紙の住宅地図が売り上げの7割弱だが、ナビソフトを始めとした電子地図部門が前年比4~5割のハイスピードで拡大し、成長を牽引していた。当時から「地図情報のコンテンツ企業を目指す」と戦略は明確で、直近(2017年3月期)の連結売上高は578億円と当時の倍近くになっている。

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