今週号の第1特集「不滅のリーダー松下幸之助」はお楽しみいただいていますか? 今回のプラスの視点は特集にちなんで、『週刊東洋経済』の過去アーカイブから幸之助インタビュー・寄稿をセレクトします。

1953年から76年までの記事から採録

人間味あふれる丁々発止

1本目は、雑誌でも掲載した1953年8月15日号「松下幸之助縦横談」。縦横談という言い方が年季を感じさせますが、プラス版はダイジェストでなく、完全収録です。「苦心したという感じがしない」事業観、貧困の撲滅を目指した水道哲学、人の上手な使い方などを披瀝しています(なお、ページの号数は今週号のものになっています)。

2本目は1954年1月11日号「経済困難を突破する道」。隔世の感がありますが、当時は終戦から復興して国際経済に復帰するために、「開放経済の総仕上げ」がテーマでした。現在のTPP議論に通じるかもしれませんが、「政府が国民のごきげんとりばかりしている」と批判します。

3本目は同じ54年の8月29日号「弱点業界にも黄色信号」。ダム理論のさきがけとなる「良識のダム」という言葉をインタビュー中に思いつく、という芸当を見せます。

4本目は少し下って1973年8月4日号「周知を集め機敏な行動を」。引退を発表した直後の心境を赤裸々に語っています。

最後は1976年5月15日号「日本の未来を考える」。国家や社会などへの発言を強めていく中で、政治家の強力な指導力を訴え、石油危機すらチャンスに転じよと財界を励まします。「保革逆転でも国民生活に激しい変化はない」は民主党政権を予言しているし、雇用情勢の悪化で公務員志向が強くなることへの問題提起、高齢化や核家族化の行く末への懸念も現代に通じます。そして、「人間の本質は変わらない」ことを起点に、「日本経済について前途を悲観しておりません」と結んでいます。

(週刊東洋経済プラス編集長 山川清弘) (週刊東洋経済プラス編集長 山川清弘)